友達、同世代の歌い手さんが亡くなりました。ソプラノの亜季さん。
お通夜、御葬式は、私は東京で、オペラ「リタ」の通し稽古、ゲネプロと重なり、伺う事が出来ませんでした。
先日、やっと御参りする事が出来ました。
亜季ちゃんとは、私がオペラデビューして間もない頃に共演させて頂きました。マスネの「シンデレラ」(サンドリヨン)で、亜季ちゃんがシンデレラ役、私は義理のお姉さん役。とても笑顔が素敵で、彼女が来ると、稽古場が明るくなっていた。亜季ちゃんと話している時は、いつも笑っていた記憶しかない。すでに何本もオペラの主役をしていた彼女でしたが、この頃以降から、子供さんの子育てのため、音楽活動をセーブされていた。
その後、私は亜季ちゃんの御主人、西尾君と共演を沢山させて頂くようになった。かれこれ数えると、8作品にもなる。西尾君から、お稽古の間に、よく亜季ちゃんのお話を聞いたり、また、本番を観に来てくれた亜季ちゃんと息子さんと、終演後に楽屋でお会いすることもありました。本当に仲の良い御家族でした。
亜季ちゃんが亡くなったすぐ後、本当に3日後に、「ドン・ジョバンニ」大きな本番に立った西尾君。それまで病院から毎日稽古に通い、病院に帰っていたという。「ドン・ジョバンニ」のレポレッロ役は、このオペラの中で、一番量が多く、相当大変な役です。しかも初役で、東京の歌手達相手に、こんな状況の中よく歌いきったと思います。亜季ちゃんも、この本番は「絶対見に行く」と、とても楽しみにしていたそうです。そんな事も、西尾君の歌う支えになったと思いますが、実際に西尾君からお話を聞き、本当に胸が張り裂けそうになりました。
心より御冥福を御祈りします。本当に残念で、無念でなりません。