合唱作品を沢山書いてらっしゃる三善晃さん作曲の日本オペラに2013年12月に仙台公演、2014年8月に東京公演(新国立劇場)に出演致しました。今年8月の「カプレーティとモンテッキ」の演出家と同じ岩田さんの演出で、私にとって岩田さんと言えばこの作品の事を思い出さずにはいられません。
支倉常長の生涯を描いた物語で、登場人物は他に宣教師ルイス・ソテロ、伊達政宗、徳川家康の男性キャスト4人、そして女性は私一人「影」という役でした。紅一点のはず?が…(笑) 唇は青いリップで衣装も女性らしいというよりシャープで格好良かったです。唯一、実在の人物ではなく、狂言回し、語り部的な役割で、状況を説明したり、ある時には支倉常長の分身になり常長の気持ちを吐露したり… 人間でない役?はこれが初めてで、これからもあまりないタイプの役だと思います。
歌はとにかく現代音楽、リズムや音程を取るのが難しかったですが、それ以上に悩まされたのはセリフでした。歌でなく、しゃべるとなると関西弁な私はただでさえ不利。セリフも楽譜上で決まってて、喋り出すタイミング、話す速度など苦労しました。個人的にアナウンサーの元にレッスンにも行きました。それがきっかけで、その後別のオペラの紹介でラジオ出演させて頂いたのも面白い経験でした。
お稽古に入り、岩田さんからは根気強くセリフの御指導頂き、また人間でない「影」という役のキャラクター作りに悩んでると、手塚治虫の「火の鳥」を読むようアドバイス頂いたり…岩田さんには大変お世話になりました。仙台に一カ月近くお稽古で滞在したのも良い思い出です。
『世界の中心ローマなる聖ペテロの座にいまし、あまねく現世をすべたもう法王聖下に、はるか波濤万里を隔てた東の果ての島ジパングより、聖下の忠実なしもべである我らイエズス会宣教者会議一同、謹んでご報告申し上げます。イエズスキリスト御生誕より数え…』案外覚えてるものですね~(笑) 今でもスラスラ出てきます。 7ページに渡る長セリフの後に続くアリア… 影役の見せ場! オペラ「遠い帆」セリフを中心にした動画、7分程ご覧下さい~