歌うはずだった3月7日の公演日も過ぎ、 残務に追われておりました。
今思うと、コロナもまだまだ序の口といった時期でした。
私は、「三部作」が終わって、翌週から4月上旬のオペラ「 愛の妙薬」の稽古に入る予定でした。 公演があるかどうか気になりながら、 楽譜を広げて自分で思い出し稽古をしていましたが、そんな中、 やはり公演中止、延期の連絡が入りました。
この頃、ほとんどの公演が、 どんどん中止や延期という状態だったので、連絡を頂いた時は、 やっぱり・・・という感じでした。スケジュール調査があり、 延期日を決めていくとの事でした。
4月のオペラも無くなって、途方に暮れていた所、「 三部作」の出演者の一人から電話がかかってきました。「 コロナで陽性反応がでた」と・・・衝撃でした。
その方は最後の日の稽古に参加されていました。 電話を頂いた日が、 その稽古から、ちょうど2週間経った日だったのですが、「 保健所で色々聞かれ、オペラの稽古というのが、飛沫感染する可能性が高いので、調査するという事で、 代表者の平野さんに保健所から連絡がいきます。」 との事でした。
その方は最後の日の稽古に参加されていました。
その方は、一度帰宅して、入院する、隔離・・・ という状況も聞き、それまで、どこか他人事だったコロナが、 一気に目の前に迫ってきたように感じました。
その後、保健所から電話がかかってきました。
「ちょうど2週間経ってるので、皆さん、大丈夫なら問題ないのですが… 2週間の間に発熱や喉の痛みのある方がいるか調査、 報告してほしい」との話がありました。
その日に稽古に参加していた人の名前を書き出しました。無事である事を祈るような思いで、 22人の参加者に、順に連絡を取り、健康状態を確認しました。 全員、この2週間、健康に問題なく元気でした。 本当に本当に良かったです。
そして、公演を中止にして良かったと、心底思いました。 あのまま続けていたら、稽古場がクラスターとなり、 舞台が感染源になっていたかもしれないと…想像するだけでも恐ろしい思いでした。
2週間経ったら大丈夫と言われても、コロナという得体の知れないウイルス、万が一自分に症状が出ていないだけで、感染しているかもと思うと、それからしばらく、人と会う事も避けていました。